MACで簡単に使えることが 電子カルテ選びの条件

当クリニックでは、開業当初からアップルドクター社の「アーチャンレセプト」を導入していました。その後バージョンアップをした後、電子カルテを追加する際も、私が使い慣れていたMACで動くものにしたいと考え、「アーチャンカルテ」を選びました。そもそもこのソフトは、現役だった医師が開発した商品で、他の商品と比較したことはありませんが、確かに使用してみると、医師目線の便利な機能が盛り込まれていると感じることが多いですね。

一般の電子カルテは、ハードとソフトで販売されているケースが多いと思いますが、こちらの商品は、ソフトだけで購入できるので、パソコンを自由に選べますし、初期投資も少なくて済むのが利点です。実際に、購入はレセプトのバージョンアップとアーチャンカルテの導入時の最初の１回だけで、それ以後はオプション追加で対応できています。ソフトウェアの更新費は、月々の使用料に含まれているので買い換える必要がなく、トータルコストの低減にもつながっていると思います。また、古くなったパソコンを更新する際も、MACの場合は、移行アシスタント機能によりボタン一つで新たなパソコンに簡単に移行できるので、専門家の手を借りることなく、診療への影響を最小限にして新しくすることができます。

サポートも充実していて、電子カルテ導入の際も、出向いていただいたのは最初の1回だけだったと記憶しています。その後は、電話によるアドバイスとリモートサポートのみで、問題なく稼働できています。遠隔地の医療施設でIT化を進める場合にも、こうしたリモートは有効だと思います。

IT化による効率化を武器に 最小限の人員で充実医療を

小林内科クリニックは、院長の私と受付の２名で運営しています。医療事務の知識があるスタッフは採用していません。最新のレセプトソフトや電子カルテを活用することで、徹底した効率化を追求してきました。例えば、内視鏡検査の画像や心電図なども、電子カルテに取り込むことにしています。紹介状などの紙文書も診察に置いてあるスキャナーで簡単に取り込むことができ、PDFにして電子カルテで一元管理することで、事務作業の省力化につながっています。

診療はもちろん、レセプトや電子カルテに関する業務についても、すべて私一人の手で行っていますが、それは“医師が開発したソフト”のお陰かもしれません。いちいちマニュアルを読んで調べるようなこともなく、直感的に使いこなせます。日々の診療や請求業務が、サクサクと支障なく進められています。

診療所の運営や診療スタイルに合わせて、セット登録のカスタマイズが比較的簡単に行えるのも魅力です。例えば、「インフルエンザセット」をクリックすると、初診料入力、インフルエンザ検査料入力、セットの薬入力,初診の日付入力をクリックひとつで同時に各項目に入力してくれますので大変助かります。

一番便利なのは、「簡易入力」の機能です。患者様との会話で得 られたさまざまな情報を8X5の合 計40個のますに予め「今日から「」昨日から」、「咳(+)」,「咳(-)」「HbA1c%」など入力しておけばクリックだけで文章が出来上がるようになります。又自分で簡単にカスタマイズも出来ますので紹介状などのどんな長い定型文もクリック1つで入力出来ます。

レセプト一体型電子カルテで 患者様の満足度向上を目指す

医療機関にとって、IT化を進める最終的な目標は、患者様の満足度を向上させることだと私は思います。レセプト一体型電子カルテも、患者さんにとってのメリットを最優先して活用していきたいと考えています。

電子カルテに患者様のさまざまなデータを集約することで、病気の最適な治療や効果的な予防につなげることが可能です。検査データや診断画像を画面で見ていただく、過去の検査データと比較してみるなど、さまざまな視覚的アプローチを採り入れることで、患者様に症状や治療法をよりわかりやすく説明することができます。

また、その患者様の薬に関する禁忌情報などを電子カルテに登録しておくことで、処方チェック機能がかかり、投与してはいけない薬剤なども未然に防ぐことができ、大きな意味で患者様メリットの向上につながるのではないでしょうか。医療機関のIT化というと、大規模な病院の問題と考える方が多いかもしれませんが、診療所にこそ求められている、患者様満足度追求のための改革ツールといえるのではないでしょうか。