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Case3

Case3

診察スタイルに合わせて電子カルテを導入・活用
【レセコン】ORCA(日医標準レセプトソフト) など
たかやま内科医院

電子カルテに過去3年分の検査結果を入れたことで診察がスムーズに

父親から診療所を継承することになった際、電子カルテの導入を決めました。大学病院時代に電子カルテを使っていて、その便利さをよく知っていたので、自分が仕事をしやすい環境を整えようと考えた時に、電子カルテの導入・IT化は欠かせないと思いました。紙に全て書いて保管するようなことは不便だし、あえてそれをやる理由もありませんでしたし。

電子カルテの導入と合わせて、レントゲン、胃カメラ、血液検査もIT化しました。エコーは直接つながっていないのですが、私が自分でデータを入力することで電子カルテに取り込んでいます。よく使うのにまだIT化できていないのが心電図で、今後進めていきたいと考えています。

電子カルテを導入する際に気をつけたことは、検査結果データの移行です。IT化のメリットは過去の記録が簡単に取り出せて、比較できる点にあると考えていましたから、導入時には過去3年分のデータを遡って取り込むことにしました。ベンダーさんは大変だったようですが(笑)、比較できる期間が短くなったら意味がないと思っていましたので、無理を言ってお願いしました。

結果として、3年分のデータを入れておいたことは、診察を進めるにあたって非常に大きなメリットになりました。もちろん、データにすることで紙を探して持ってきてもらう手間が省けたのは言うまでもありませんが、3年分の検査結果を時系列で見ながら患者様と話ができるので、こちらも説明しやすいのです。

「この前はこうだけど、今回はこうなっているでしょ?」と具体的に話せますし、納得していただける場面も増えているように感じています。

「使う人」と「使わない人」を分けたことでもたらされた数々のメリット

うちでは、電子カルテを使う人と使わない人を分けています。使うのは私と事務。看護師やその他の職員、内視鏡の診察だけをお願いしている父は電子カルテを使いません。
全員が使えた方がよいのかもしれませんが、役割をはっきりと分けることが、結果的に大きなメリットを生んでいます。

役割を分けた理由として、看護師は私よりも年齢が高いということもあって、覚えるのは大変だろうということが一つ。また、看護師が電子カルテを使うとしても、血圧や検尿などの数値や患者様とのやりとりの記録くらいですから、それは問診票に手書きで書いておいてもらい、私が後でまとめて入力するようにしています。

そうすることで看護師たちの業務量が増えることなく、効率化ができています。私も入力作業によって内容を把握できますしね。

父については、本人が頑に触ろうとしないという理由もあるのですが、内視鏡の患者数は多くても一日5人程度ですから、そのデータについても私が後で入力するようにしています。実際、IT化を進める際には父も使いやすいものをと考えてはいたのですが、全く覚えようとしないので、早々に諦めました(笑)。

そのかわり、クラーク対応ができるように診察室に環境は整えてあり、事務の人にも使い方を覚えてもらったので、万が一、私が長期間留守にすることがあった場合でも対応できるようにしてあります。IT化構想の早い段階で体制を決めたので、父を説得したり、覚えてもらうといった時間をかけることなく、スムーズに進められました。ここは非常によかった点だと思っています。

IT化の大きなメリットがもう一つあります。私は心療内科もやっているので、患者様の話を長い時間聞くことも多いのですが、手書きで記録を書くと、どうしても患者様がお話される順番に記載することになり実際の時系列と順序が前後することが多々あります。後から順番を並べなおす場合も、手書きですととても大変ですが、パソコン上での入れ替えであれば容易に対応でき、患者様の状況も整理できるので、大変ありがたいです。

このような記録は、後から見直した際もすぐに状況が把握できるのでとても助かっています。また、電子カルテとレセコンがつながったことで、病名漏れもほぼなくなりました。返戻があった場合はその返戻だけでなく、電子カルテから同様のケースを検索して見比べたりして、加筆修正するようにしています。

患者様からは、「診察時の説明が分かりやすくなった」という声が聞けています。一方で、検査結果を渡す紙のサイズがA5版からA4版に変わったことについては、大きな反応がありました。「これまできれいにファイリングできていたのに、サイズが変わったので困る」という人は多いみたいですね。でも苦情はそれくらいで、他は受け入れてもらえているようです。

ちなみに、電子カルテが動かなくなったなどのトラブル対応のためリモート接続の準備もしています。急なトラブルがあってもその場で教えてもらえるので安心です。実際は話を聞くだけで解決できることも多いですが、すぐにつながりますし、待たされることも少ないので、環境としてあるだけで安心できていますね。

診療スタイルや習慣に合うかたちで電子カルテが活用できている

これは私の診察のスタイルなのですが、診療後には必ずその日の患者様全員のカルテを見直しています。そこで病名の付け忘れや記載漏れ、他にやり忘れていたことがないかを確認するのです。

看護師や父が記入した手書きのデータを電子カルテに入力する作業も、その時間に一緒に行っているため、毎日の習慣の中に電子カルテが自然にある状況がつくれているといってもよいかもしれません。

毎日カルテの確認作業をしたうえで、事務にはさらにしっかりとレセプトをチェックしてもらっているので、どうやらうちはレセプトの返戻は非常に少ないみたいです。もし戻ってきた時も、先ほどお話ししたようにすぐに修正ができますから、業務の効率化と質の向上については、IT化によって一層うまく進んでいるように思えます。

今後は、電子カルテに蓄積している情報をしっかり活用し、診療所内の効率化はもちろんですが、診療の質を向上させ患者様の治療により一層役立てたいと考えています。



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