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Case5

Case5

紙カルテとITを併用。 患者様本位の医療を目指す。
【レセコン】ORCA(日医標準レセプトソフト) など
菊池医院

紙カルテを残したまま、ORCAを中核としたデータ連携で効率運用

当院は、以前は有床診療所でした。入院患者様がいて、院内で処方箋を書き、薬を処方して患者様に直接お渡ししていました。現在の一般的な診療所では、診察をして処方箋を患者様にお渡しして、院内の作業は完了という所がほとんどでしょう。当院は診察から薬を患者様にお渡しするまでのプロセスを、患者様へのサービスのため、すべて自院で完結する必要があったのです。

このため、市販のパッケージ型電子カルテでは対応が困難といわれ、対応可能だという大型の電子カルテでは、重厚長大過ぎてしまう…。
IT化は時代の趨勢で避けては通れないと知りつつ、そういう悩みを抱えていたのです。

また、患者様であるお子様とそのお母様とのコミュニケーション重視の観点から、パソコンの画面に向かうよりも、より長い時間患者様の顔を見て会話に集中できる紙カルテを継続したいと、私は考えていました。

そこで提案していただいた運用が、従来の紙カルテを残し、簡易オーダリングシステムで処方箋をORCAに連動させる、いわばオリジナルの形にカスタマイズするというプランでした。

診療直後にオーダを発行し、「薬剤情報提供書」と専用の薬袋を院内で印刷しています。IT化と紙カルテのよい所取りを実現した“菊池医院オリジナルシステム”といえます。日医標準レセプトソフト(ORCA)を中心としたシステム間データ連携を行うことで、紙カルテを残したまま院内業務の運用の効率化を図ることができました。

一人当たりの診療時間、待ち時間が長い小児科特有の課題を解決

院内処方を実践しているので、会計と同時に薬をお渡しできるのは、患者様にとっても大きなメリットだと思います。診察を終えたお子様を、またベビーカーに乗せ外部の薬局へ向かい、そこでも待たされてやっと薬をもらうのは大きな負担です。

当院では、短時間にスムーズに薬をお渡しできるよう、ORCAと連携したオーダリングシステムで、高速化・効率化を図っています。ずっと紙ベースで行ってきたので、旧レセプトコンピュータでは、セット登録に手間がかかるなど、スタッフから使い勝手に対する不満の声が上がっていましたが、ORCAは、予め小児科の診療内容を簡単にセット登録することができるため、必要な項目を素早く入力できます。パソコンに習熟していない人でも、誰でも簡単に使えるのもよいですね。

一人当たりの診療時間が長くかかり、入力業務も多いといわれる小児科ですが、現在では、時短と効率化に目に見えて成果が上がっています。

20年間の予防接種データを保管患者様に利便性と安心医療をご提供

また、小児科の重要な使命である予防接種の管理システムも導入しています。当院では、20年以上に及ぶ患者様の予防接種に関するデータを保管しています。通常は、5年間保管していますが、成人になってから子供のときの予防接種の履歴を問い合わせて来られる患者様がいらっしゃいます。

「大人になってからどのワクチンを接種したか調べようとしたら、母子手帳が見つからなくてわからない」こういうお問い合わせをよくいただきます。今回、新システム導入に際して、「予防接種の管理システムDr.TAP」も導入しましたので、さらに迅速・確実なサービスをご提供できると思います。

例えば、予防接種の時期が近づくと、当院の方からお知らせして予約をしていただくなどのサービスも実施していきたいですね。最近は、お子様もお母様も忙しいですから、喜んでいただけるのではないでしょうか。

また、小児科の経営上の観点からも、予防接種の種類・時期に関する患者様のデータを把握しておくことは重要だと思います。

先生・職員・患者の全員にとって満足できる質の高い診療が目標

当院では、1日に一般の患者様が70~80名、予防接種の患者様が10名前後来院します。小児科の診察は時間がかかるといわれてますが、今回の新システム導入で短縮化につながるのではないか、と期待しています。

先述の予防接種に関しても、今回、大きく改善することができました。予防接種は市町村からの委託を受け医療機関が行います。その際の書類や請求のフォーマットが自治体ごとに違っています。そのため、全部違う書式で請求しなければなりません。これを人の手で行っていたわけですから、多くの時間と労力を費やしていました。今回、その一部をデジタル化でき、大きな省力化とスピードアップにつながりました。

今後、実現していきたいのは、Webを活用した予防接種の予約管理の仕組みです。お母様たちのほとんどはスマートフォンを活用していますから、医院からの予防接種のお知らせ、お母様からの予約などを、スマートフォンを介して行えば、効率アップにつながるのではないでしょうか。

当院では、医師とスタッフ全員による、改善・改革を考えるミーティングを定期的に行っています。この規模のクリニックでは、あまり例がないそうですが、それぞれの担当業務の課題を共有し、同時に忌憚のない意見や要望を交換する場として重ねてきました。

コミュニケーションを円滑にする場としても活かしながら、今後、大きな進展が予測されている新しいITの活用方法なども見据えて、先生・職員・患者様の全員にとってメリットのある新たなソリューションを皆で模索していきたいと考えています。



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取材協力

株式会社福島情報処理センター
ソリューション営業部
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