main_img

Case7

Case7

患者様をよりよく把握できるようになった
【レセコン】ORCA(日医標準レセプトソフト) など
五十嵐こころのクリニック

ドクターの数が多く、情報共有は重要。電子カルテの導入は必然だった

実は、以前に一度、今とは違う電子カルテを導入したことがありました。しかし、使いにくいうえに、メーカーさん、ベンダーさんに何か相談しても、システムの都合で変えられないなどと言われることがほとんどで、うちの進め方とは合わなかったのです。結局、紙カルテに戻したという経緯がありました。

紙カルテの管理とレセプトへの反映は事務が中心に行っていますが、患者数の増加とともに「このまま紙カルテで運用するには限界がある」との声が上がり始めました。改めて電子カルテの導入を考え始めたのは、こうした声がきっかけです。

現在、当院はドクターが12人いますが、その半数以上が非常勤です。最大で7つの診療室が稼働する日もあります。曜日によって常駐するドクターが違うケースもあるため、患者様が別の曜日や時間帯に来院された場合を考えると、カルテ上での情報共有は非常に大事なものになります。精神科や心療内科はカルテへの記載量が多くなる傾向にありますが、私も含めて何人かのドクターは手書きの文字が汚いので読めないと言われることがあり、やりとりの際は非常に効率が悪かったという経緯もありました。電子カルテにすれば、これらは解決できると思ったのです。

2004年から日本医師会が推進しているORCAを使っています。事務の評判はよかったので、採用する電子カルテはORCAにつながることを考えていました。導入時からサポートをお願いしておりましたベンダーさんのS社が電子カルテ(REMORA)のサポートを行うこととなり、デモを何度かお願いしましたところ、先生方、事務の評判もよく導入を検討しはじめました。

使い勝手についても、前回導入したものとは雲泥の差。当院に合った形で使えるようベンダーさんにもいろいろと協力してもらえているので、とても助かっています。

60歳になってブラインドタッチを習得。パソコン入力の壁はそれほど高くない!

導入後のメリットはたくさんあります。一番は、カルテ作成の仕方が変わったことで、患者様の状態をよりよく把握できるようになったことです。

まず、診察の進め方としては、患者様と話をしながら電子カルテに記入をしていきます。カルテへの記載量が多い場合に、パソコンを使っての文字入力の壁は大きいのではないかと思っていました。ただ実際にやってみると、ブラインドタッチについては思っていたほどの大変さはなく、慣れればできるという感じです。私自身、60歳を過ぎてから習得しました。当然、若いドクターはお手のものですし、カウンセラーのほとんどもすぐに使いこなせています。

電子カルテ採用前は手書きで速記のようにメモをとるスタイルでしたが、今は要点をまとめてアジェンダを残すような書き方に変えています。そうすることで、書きながら内容を確認することができるようになり、患者様の状態が分かりやすくカルテに残せるようになったのです。他のドクターが書いた内容を見た時も、患者様の状況についてポイントを的確に把握できますから、患者数が多いときなど時間がない時は非常に助かりますね。

これはカウンセラーによるヒアリングも同じです。30分カウンセリングをすれば、紙で数ページに渡るメモが残りますが、その全てに目を通し、頭に入れておくことはなかなかできることではありません。今の進め方だと、まとめる方も、読む方も、非常に楽になったと感じています。

もちろん、電子カルテにしたことで、紙カルテの管理が必要なくなった点は大きなメリットです。以前は壁一面に2000人分を超えるカルテがビッシリ並んでいて、その数は増え続けていました。通常だと5年経ったものは廃棄することができますが、長く通院される方もいる精神科の場合はなかなかそうはいきません。10数年とっておくこともありましたから、それらがまとめてIT化できたことは非常に助かりましたね。

また、精神科や心療内科では、いろいろな公費負担制度の診断書など多岐に渡る書類作成が必要です。2年に一度、更新も行います。それが全て電子上でできることで、必要なデータのみ修正すればよくなり、書類を一からつくり直す必要がなくなりました。また、患者様が次の来院の予約を取る際も、以前は受付で行っていましたが、今は診察の最後に電子カルテの予定表を開いてその場で行うようにしています。また、オーダのORCA-電子カルテの連携はもちろんの事、薬袋のORCAからの直接印刷や、返戻・減点を起こしやすいパターンを会計時に自動チェックも行い、電子カルテ導入の結果として、事務の仕事が減っています。電子カルテ導入前は、毎日5人の事務が常駐していましたが、今では3人で回せています。それだけでも、効率化が進んだことがお分かりいただけると思います。



[メーカー]

取材協力

株式会社スカイ・エス・エイッチ
担当:長谷川 tel.075-622-7385
住所:〒612-8081
京都府京都市伏見区新町5-495 北本ビル4階401
URL:http://www.sky.sh/